価格競争と富裕層手配の狭間で見えた旅行業の本質
ネット上の価格競争、薄利との闘い
インターネットで海外ツアーを掲載すると、Yahoo!トラベル、トラベルコちゃん、エービーロードといった比較サイトでは「料金の安い順」に並びます。 そのため、常に他社の価格をウォッチし、少しでも安い料金が出ていればすぐに追随する必要がありました。
航空会社やランドオペレーター(現地手配会社)と交渉することもありますが、値下げ交渉が通らなければ、自社の利益を削るしかありません。 結果、信じられないほど薄利で販売するケースも少なくありませんでした。
富裕層対応で重視されるのは「価格」ではなく「完璧さ」
その後、私は富裕層のお客様の個別手配を担当するようになりました。ここでは価格よりも「希望にどれだけ応えられるか」が重要です。 価格競争からは解放されましたが、プレッシャーはまったく別の次元になります。
通常の手配であれば、ミスがあってもピーク時期を避けていることが多く、再予約できる余地がある場合もありました。 しかし、富裕層の旅行はハイシーズンが多く、一つの手違いが大きなトラブルに繋がります。
完璧な手配のために必要な「慣れ」と「視点の切り替え」
慣れてくると、どこが危険ポイントかが分かるようになります。レストランの希望を聞き漏らさない、日付の確認を三重に行う――。 こうした積み重ねが「絶対にミスをしない」ための基礎になります。
また、希望通りの手配ができない場合にも、「別の視点からの提案」ができるようになり、「この人に任せてよかった」と思っていただけることも増えました。 そうして、紹介から新たなお得意様に繋がる機会も増えていきました。
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